導入事例
01 導入目的・背景
いただいた反響に、フォローの手が足りない
インサイドセールス専任者は不在で、営業は来場対応に集中せざるを得ず、資料請求後のお客様へのフォローは専任の担い手がいない状態でした。反響は資料請求や来場予約を合わせて月約200件※ありましたが、課題の本質は数ではありません。何件であっても、お問い合わせいただいたのに応えられていないお客様がいる、という状態そのものでした。
- 資料請求後のお客様(月50〜60件※)へのフォローが、マンパワー不足でほぼ手つかず
ー 来場後に次回アポイントへつながらなかったお客様(月20〜30件※)のフォローも担い手が不在
ー 反応がありそうなお客様を見て個別に連絡する運用は属人化し、組織として標準化できていなかった
実際にAIを導入する前は、「お客様対応をAIが行うこと」に対して、正直なところ少し引け目も感じていました。人が対応するからこそ伝わるものがあるのではないか、AIでは十分に当社のサービスを説明しきれないのではないか、という不安もありました。
同社は、建物の形に左右されない明朗な坪単価制や、お客様アンケートの全件開示など、「お客様に対して正直であること」を家づくりの軸にしてきた会社です。だからこそ、せっかくお問い合わせをいただいたのに応えられないお客様がいる状態は、本来のあり方ではありませんでした。人を新たに採用するのではなく、いただいた反響一つひとつに向き合える仕組みとして、Digima AI エージェントの導入を決定しました。
02 導入後の変化
フォローできていなかったお客様に届く体制へ
AIのフォローは新規の資料請求にとどまりません。これまで担い手のいなかった「来場したものの次回アポイントに至らなかったお客様」にもAIが寄り添います。北海道・福岡の両拠点で、これまでフォローできていなかったお客様一人ひとりに、組織として手が届く体制になりました。
現場の負担を抑えた立ち上げ
導入にあたっては、コンベックスのコンシェルジュチームが既存の営業フロー・顧客ステータスの運用に合わせてワークフローを設計。稼働開始前には営業メンバー向けの説明会を実施し、「どのお客様をAIに任せ、どこから人が引き継ぐのか」を全員で揃えてからスタートしました。お客様からの専門的なご質問や具体的な日程調整は担当者に引き継がれる設計で、AIと営業がダブルでフォローする運用です。
北海道と福岡、地域で異なる標準仕様に合わせた案内
アーキテックプランニングの標準仕様は、地域の気候に合わせて北海道と福岡で異なります。たとえば床暖房は、北海道では玄関・脱衣所・トイレ・個室まで含む「全室」床暖房が標準ですが、福岡ではLDKへの電気式エコ床暖房の採用と、構成が大きく違います。
Digima AI エージェントでは、カスタム学習(ポールポジション・ブレイン)に両地域の標準仕様を分けて学習させ、お客様の地域に合った仕様にもとづいてAIが案内するよう設計。「AIが誤った情報を答えないか」という導入時の不安には、自社の情報を学習の土台にすることと、人がやり取りの品質を監修する運用の二段構えで向き合っています。
「自社仕様のAI」に育てる継続的なチューニング
稼働後も打ち合わせを重ねながら、AIをアーキテックプランニング仕様に磨き込んでいます。価格に関するご質問への案内方針、来場済みのお客様への文面の出し分け、最新のモデルハウス・見学会情報の反映など、回答の方針は同社の意向に合わせて細かくコントロール。AIに任せきりにせず、人が品質を監修しながら「自社の接客」に近づけていく運用が定着しています。
しかし実際に導入してみると、その印象は大きく変わりました。当社の特徴やサービス内容が正しくインプットされていることで、想定以上に正確性の高い回答ができており、お客様に対して当社のサービスを正しく伝えるという点では、むしろAIがしっかり活躍していると感じています。
対応内容も、AIとは思えないほど丁寧で自然でした。営業メンバーからは「AIではなく、マーケティング部のメンバーが対応していると思った」と言われるほどで、社内でも違和感なく受け入れられています。日々の業務に追われる営業メンバーからは、対応負担が軽減されたことに対して感謝の言葉ももらっています。
単に自動で返信するだけではなく、アポイントにつながるためのスムーズなやり取りが実現できており、お客様とのコミュニケーションの流れにも違和感がありません。必要な情報を的確に伝えながら、自然な形で次の行動につなげられている点は、大きな価値だと感じています。
03 成果(2026年6月30日時点)
AIがフォローしたお客様全体から、毎月10件以上の商談化が継続。そのうち、スタッフの手を借りずAI単独の対話のみで商談まで引き上げたケースもコンスタント(最大月5件)に発生しており、人手を増やさずに反響を商談につなげる確かな土台が整いました。
※商談化以降の件数は、現在の顧客ステータス基準。2月にAIが対応したお客様が3月以降に商談化するケースを含むため、成果は対応月の翌月以降にも積み上がります。
| AIた対応月 | AIがフォロー | うち商談化以降 |
|---|---|---|
| 2026年2月 | 73件 | 10件 |
| 2026年3月 | 70件 | 14件 |
| 2026年4月 | 66件 | 13件 |
| 2026年5月 | 62件 | 10件 |
| 2026年6月 | 71件 | 15件 |
「従来なら接点が作れなかったお客様」がご契約に至るまで(一例)
ご契約に至ったあるお客様は、接点が資料請求と無人モデルハウスの見学のみ。スタッフとの会話は一度もなく、ご自身から問い合わせることもない方でした。導入前の運用なら、ご縁がつながらないままになっていた可能性が高いお客様です。
資料請求の直後
AIが初回メッセージをお届け。この時点でご返信はなし
無人モデルハウス見学後
スタッフ不在でヒアリングできなかった分を、AIがお礼とともに「いま気になっていること」として伺うと、お客様から3分後にご返信。「住まいの性能を最も重視されている」ことが初めて分かる
個別相談のご案内後、返信が途絶える
人のフォローならここで優先度が下がりがちなところ、AIは押しつけにならない間合いでフォローを継続
約1ヶ月後
対話が再び動き出し、ご関心は「性能」から「性能・デザイン・資金のバランス」へと具体化。検討の軸が整理された状態で商談につながり、ご契約へ
この間、AIがお送りしたメッセージは7通。お客様のご返信は3回、いずれも選択肢に番号で答えるだけの気軽なものでした。電話に出る必要も長文を書く必要もない対話だからこそ、お客様の検討が途切れず、営業担当者は「何を重視されているか」が分かった状態で商談を始められました。
成果の数字を見ても、想定以上にアポイント獲得につながっており、AIが営業活動を補助する存在として十分に機能していることを実感しています。特に、これまで対応のタイミングや情報提供のばらつきによって取りこぼしていた可能性のあるお客様にも、丁寧かつ正確に対応できるようになった点は、想定外の大きな効果でした。
当社では、1人当たりの生産性を極力高め、その分をコストパフォーマンスの高い家づくりとして価格に反映することを重要視しています。その考え方から見ても、今回のAIサービスは非常に相性が良く、単なる業務効率化ツールではなく、当社の家づくりの価値を支える存在になっていると感じています。
今後も、営業メンバーの負担を軽減しながら、お客様への対応品質を高める手段として、AIの活用をさらに広げていきたいです。
04 今後の展望
企業プロフィール
株式会社アーキテックプランニング